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谷口巳三郎氏エッセー「熱帯に生きる」より

わたしの卒業式
 この後、会場の外の前庭のプレゼントの品が並べられた場所に全員で移動するとそれぞれの品にひとりずつ代表が出て、果樹の苗木は1本、堆肥は小さなサンプル袋を私より受け取り、子豚とブロイラーはそれぞれの籠に手を触れてプレゼントの贈呈式を終えた。
 来賓にも贈った堆肥は、生徒20名分と合わせると85袋(×25kg)2125kg、凡そ2tをこす量であった。
 こうして始めての試みであった終了式のすべてが終わると、別れの時が来た。どの生徒も父兄も晴々とした顔つきでにこにこと声高に話しながらそれぞれのプレゼントの品を車に積み込むと、終了生1人1人は次々と国旗掲揚台前に並んだ我々4名の教師と挨拶と固い握手を交わし、10ヵ月、300日共に学び暮らした農場から去っていった。
 親兄弟が手配してきたピックアップトラックに家族と乗り込み乾季の乾いた大地を赤い土埃を上げながら去っていく彼らの姿を遠く望み、"頑張れ!愛し子よ!"我が望みを託せし若き彼らの将来に私は万感胸に迫る思いで教場前の道に立ち続けた。
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